会長挨拶 / 沿革

会長挨拶

この度、森一郎会長の後任を務めさせていただくこととなりました。昨年の総会は私が世話人として長崎で実施する予定でありましたが、コロナ禍の影響の為開催に至らず、本年度の8月に再度の延期をすることとなりました。皆さまには多大なご迷惑とご心配をおかけしたかと思います。心よりお詫び申し上げます。

会員の皆様もお感じのとおり、今は本研究会にとって極めて重要な時期であり、会長の引継ぎに、その責任の重さを感じております。加えて、本年の3月末日をもって今まで長きにわたり事務局の労を賜った土橋康成先生と津久井淑子様もそのお役目を終えられ、4月1日から、新事務局を国際文献社と契約締結し、新たな研究会のスタートを迎えることとなりました。今後の運営は大きな変換の局面を迎えていると言えます。

本研究会は2002年に第一回の総会が東京で開催されてから既に19年の歴史を有し、本邦におけるデジタル化、遠隔医療の発展に大きな貢献を行って来た会であり、今後も病理のデジタル化、人工知能の導入にむけて日本病理学会、日本臨床細胞学会に代表される病理診断、細胞診断に関わる多くの学会関係者のお役に立てる会としての機能を拡大していく必要が有ろうと思っております。

総会の参加人数は大きく増加し、2019年浜松での年次総会では300人を超える参加者を迎えることができました。また国際的な連携プログラムや付属研究班の活性化なども加わり、大きな発展を遂げてきていると思います。

COVID19が猛威を振るう中、我々の日常環境は大きく様変わりし、病理における環境もまた世界的に一変しようとしています。米国ではCAP主導にて、自宅における診断が診療行為として認められる緊急措置がなされ、その法整備にむけてDPAが中心となり、活動しています。本邦でもポストコロナとしてのデジタルを駆使した病理における診療スタイルの確立が望まれる中、本研究会が中心となって研究データを集積し、報告をしていくことが重要と言えるでしょう。

また、日本デジタルパソロジー研究会は本年度大きな目標を掲げています。前会長の森一郎先生を代表として法人化することが挙げられており、それに向けて森先生のリーダーシップの下、ワーキンググループが立ち上げられつつあります。法人化することにより、国際的な学会との連携をより一層深め、アジアにおけるデジタルパソロジーのハブとなれるよう、努めていきたいと思っております。また、本邦において安全に病理診断のデジタル化および人工知能の臨床導入が進み、DP先進国として発展できるよう、1)会員各位の優れた研究内容を広く紹介する、2)DP/AIの安全性を検証する研究を推進する、3)定期的な教育セミナーを実施する、4)国外におけるDP/AIの動向を周知する、5)新たにDPやAIを導入する方の手助けとなる道筋を示す、など活動を広げたいと思っております。

会員皆さまのご意見を伺いながら、なんとかこの難局を乗り越え、今後の発展につなげていきたいと思っておりますので、どうぞご支援の程、よろしくお願い申し上げます。

日本デジタルパソロジー研究会会長
長崎大学医学部病理学教授
福岡 順也